檸檬

生きるための生活をしています

2018-01-01から1年間の記事一覧

才能

雨の降る晩、才能は自分で有無を決めていいものかと考えた。「私には才能がないんだ」と言うことは容易いが、「私には才能がある」と誇示することも容易い。他人から見たものが真実であるとすれば、私は一人では成り立たないのかと言えばそうでもない。きっ…

ね?

『ひとりじゃない』という言葉は何度も聞いたし、私もその言葉で悩まされてきた。 どの状態が『ひとりじゃない』ことを指すのか? 精神的に寄り添える恋人がいれば『ひとりじゃない』? 優しく受け止めてくれる家族がいれば『ひとりじゃない』? 沢山の気の…

昔見た映画

私が大人になる度に、色んなことを忘れ去っていくことがこんなにも悲しい。 道端に咲いた花に歓喜すること、木々のざわめきが優しく心身を包んでいること、涙を流す時必ず月と空は見ていたこと、許されない現実に殺されても貴方は私を許したこと、そんな大事…

またね

また同じ春が来たねと、 去年言っていたひとはもう隣にいなくて 違う春かと思うけど、やっぱり同じ春。 私も誰かの「あなた」になれたかな 私たち何度も繰り返してる 別れて好きになって付き合って別れて好きになって付き合ってをずっと。 「同じこと、もう…

新世界

苺の種みたいに君を噛み砕きたくなる夜とか珈琲みたいに苦くて目を瞑っちゃう恋とかパスタみたいに伸びてしまった時とか、もうそういうのさえ許せなくなってしまう私がいる。 涙を流せば流すほど綺麗になるという迷信は明後日の方向で飛んで行き、今は遠くの…

悠然

「聞いてほしいことがあるの」 彼女は突然思い立って、口に出した。ベランダ菜園を網戸越しに眺める僕は彼女の方を向かずに「んー」とだけ唸った。 彼女が大袈裟に息を吸う。まだ残暑が厳しい9月のはじめ。蝉の鳴き声がピタリと止んだ時、君は多分笑った。 …

依存症

君に許されたい 君に愛されたい 君に好かれたい 君に殴られたい 君に蹴られたい 君に殺されたい 君に触られたい 君に慰められたい 君に触りたい 君に優しくされたい 君に見つめられたい 君に求められたい 君に叩かれたい 君に喋りかけられたい 君に傷つけら…

不明点

真っ黒くて苦くて酸っぱくて甘くて、時には暖を与え時には体温を奪い、体力の限界まで正気を搾取してしまうような悪魔が棲みついている。証拠は全くもってない。いつから居たのかも不明。寧ろ、皆が気付いていないだけで皆の中に必ず存在しているものなんじ…

記録

ある日膨大な不安と恐怖を抱えて生きるようになった。それは何がどうで、誰とこうなった、という具体的なことは全く分からなくてただ辛い気持ちでいっぱいだった。思い当たる節が多すぎて正直わかることを放棄していたのかもしれない。社会に対する不満や不…

殴り書き

「辛い」と泣き叫ぶ少女の涙をそっと拭うだけで君は優しくなれる たとえ多くの人に軽蔑の念を向けられていたとしてもその少女にとって君が優しい人であった事実は消えない、少女が「優しい人」だと思い続け、忘れなければ優しい人であり続ける 誰にとっても…

自殺への冒涜者

精神はある日突然自殺する。そして失敗する。 この間私の精神は血だらけになって、私の目の前に現れた。精神だけが血だらけになっていく様を見届けるのは辛かったから、取り敢えず手首を剃刀で切った。じんわりと血が溢れて、その日は眠れなかった。 精神は…

水圧

昨夜ショックなことがあった。自分が深く知れば傷付くであろうことを知りすぎた。錆びれたナイフで刺されるような痛みが何度も心に走った。何だか感心していた。 益々人間味が溢れてきたなあと。 感情が豊かなのは昔からではなくて、幼少期なんかはかなり無…

孤独へ

「明けない夜は無いよ」って、古い昔、そんな風に彼が私に教えてくれた。 たしかに明けない夜は無くて、ちゃんと明日が来ることはもう私も子供じゃない。分かっている。と言っても子供だけど、もう、夜中に一人でトイレに行ける。 明けない夜は無いけど、雨…