檸檬

生きるための生活をしています

孤独へ

 

「明けない夜は無いよ」って、古い昔、そんな風に彼が私に教えてくれた。

たしかに明けない夜は無くて、ちゃんと明日が来ることはもう私も子供じゃない。分かっている。と言っても子供だけど、もう、夜中に一人でトイレに行ける。

 

明けない夜は無いけど、雨が必ず1日で止むとは限らない。捻ると必ず水の出る蛇口も無ければ、「絶対」という安心も無い。

それなりに夜を越してきたつもりだけど、夜はまだまだ深い。闇は何処までも深い。恐い。

でも偶に、そんな夜に甘えたくなる。

本能で生きる動物たちにとって、夜は自分を隠して生きられる唯一の時間。

私たち人間と同じ。

 

涙を流すということが恥ずかしい私にとって、夜の闇はそれを隠すことに丁度いいし優しい。猛威を振るって暴力的になる夜もあったけど何とか今日まで生きてこられた。

 

「夜は苦手」という彼女も、きっと本当は夜を愛したい。無視出来ない悲しさが彼女を襲い続けるから苦手なんだと思う。

どうか忘れないで欲しい、夜は私たちを一人にさせるものではないことを。私たちを素直にさせてくれることを。

 

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